松江支部
松江支部総会・6月例会
『会社を守れ!2代目経営者!!』
~行動することで分かった自社の強みと弱み~
開催日程:2015年6月9日
6月例会案内
報告者:田城 敏史氏
(鳥取同友会 青年部長) ニチラス運輸株式会社 取締役
<総会報告>
新支部長である加納氏の挨拶の後、前支部長の瀬崎氏(顧問・幹事長)より2014年度松江支部活動報告資料を基に報告があった。総括として、会員全員が当事者意識を持った自主的な会となることが、より深い学びを得ることになり、ひいては地域に貢献できる会になることに繋がるという考えを強調された。続いて加納氏から、2015
年度支部方針資料により、より多くの方に関わっていただける環境作り、12班からなる小グループ活動の活性化、全県委員会への協力などを通じ実のある活動を目指すことが宣言され、役員各氏の紹介を経て、ここに松江支部は新たなスタートを切った。
<例会報告>
入社後、何もせず何も考えず過ごしていたと振り返る田城氏。数年後、重要業務を担当することとなるが指示は顧客に言われるまま、先輩社員との衝突が絶えない日々に社員も離れていった。社員が悪いと思いつつ、何かおかしいと気付き社員の声を聞こうと行動するも、思うように周りは動かないし変わらない。
リーマンショックから改革に着手し、経営者としての学びを進める中から同友会を探し当て入会を果たす。(自主的な入会は初のケース!?)聴き合い、学び合う同友会スタイルの講習を取り入れることで、社員の間には仲間のため、互いの成長のためにという意識転換と教え合うという姿勢が生まれ、田城氏対社員という構図から変化していく。
経営指針成文化においては、理念を講ずる前に社員が受け入れやすいイメージ(「カッコイイ会社へ」)を利用して敷居を下げ、社員向け経営指針書も作成している。自分でやると言ったことはやる社員達に自ら声を上げてもらうための仕掛けなど、細かな積み重ねを実践していく。そして「社員の人生の最後に我が社のことを想い起してもらえるか」「そんな会社になっているか、そんな会社にしたい」「社員は自分を見ている、その事が自分の支えになる」という想いと気付きに至る別れを経験した時、社員に向き合う決意が生まれた。
実践の積み重ねと新たに生まれた決意の中で、田城氏が得た大きな学びは、本質の探究による変革である。
「何業なのか」「お客様はどこなのか」を常に問いかけ追い求めることで、荷主の心を荷主に代わって届ける「運送サービス業」であるという認識にたどり着く。納入先顧客を重視する戦略へと転換することで、新たなビジネスチャンスを生み、結果も出ることですべてが変わってきた。中型小ロット運送も、世の中にある当たり前のちょっと外側に小さな変化を生み出すことで、顧客の感動を呼ぼうという観点に立っている。むしろ難しいのは社員の当り前を変えていくことである。勝負のポイントは、景気に左右されない価格決定権のもてる仕事を生むことと、それを支える社員のプロ意識の向上である。利益が出せないのは、正しく対価に変えることができていないだけであり、対価に変えられない仕事は受けないという経営者のツッパリに、社員が応えてくれるようにしなければならない。
最後に田城氏から出た問いかけは、「どんな会社になりたいですか」「どうやってそこにたどり着きますか」「地域貢献とは」ということであった。社員に向き合うほど地域の力を借りて成り立っていることを思い知り、社員や地域を守りたいという思いが強くなるのとは裏腹に、自社でどうやれるのか答えられない。家庭や地域を守る方法について悩みに直面している。ただし悩むばかりではなく絶対に乗り越える意思は固まっており、同友会活動を通じ仲間と共に高め合いたいと考えているとのことであった。
グループ討論は「社員との信頼関係はどのように築いていますか」「自社の社会的役割と責任をどのように認識していますか」という二つのテーマにおいて、互いに共有できる指針や価値観などが必要、時間の共有も重要、などの意見が出された。全体として、会話量を増やす、個人面談の気軽なランチミーティングへの転換、ミーティングの進行を社員に任せて当事者意識を持たせる、部所交換体験により互いの仕事をよく知る、あるいは顧客満足、雇用と納税を果たす、公益に資するサービス提供を行うなどの発表があった。
<感想>
田城氏の口から紡がれる言葉以上に深い思考が秘められていると感じられる報告でした。補足の報告にあった、社員で勝負することを明確に譲れない部分として据えておられること、当の社員さんにも、あなた達は取り替えが利かない存在であるとの認識を伝えていらっしゃることにも感銘を受けました。うまくいかないこと、経営者と社員との関係、風土、制度、環境などには様々なバリアが存在しますが、社員に正対し向き合う態度へと自ら変革した結果、見えないバリアを打ち破ることに成功されたのだと思います。若く素晴らしい経営者のベンチマークとして、その成長物語の続編を期待します。